大政の蛸は、「使わせていただく・・・」という心構えです
僕は子供のころから大政のたこを食べて育ってるから、このさくっとした歯ざわりや味しか受け付けないんだよね。子供のころの美味しい記憶は正直だから、妙に柔らかいたこは拒否反応になってしまう。
大政のたこは手間暇かけたその作り方に頭が下がるし、また「うまい餌があるところじゃないと良いたこが育たない」という親父さんの考え方もとても良くわかる。
僕の仕事も含め「昔の味を保つのが大変な時代」、大政のたこは使わせていただくという心構えでお客様にご提供しています。
「大政の蛸はそのまま召し上がっていただきたい」との考えから、手を加えずお造りに。ガラスのプレートの下に仕掛けた手作りの豆電球で、幻想的で美しい一皿に仕上げています。
口に入れると、驚くほど柔らかく煮付けられた蛸。えび、牛肉のねぎ巻きと一緒に前菜でお楽しみいただく一品です。
「つきぢ田村」 田村隆さん
1957年「つきぢ田村」の長男として生まれ、現在は築地2丁目の本店調理場の最前線で腕を揮う一方、一般に向けた食の伝承にも力を注いでいます。
墨絵の蛸の秘密
蛸の大政の顔としてあちこちに登場しているこの墨絵の蛸。実は、田村隆さんのお父上・田村暉昭(てるあき)氏が描いてくださったものです。蛸墨絵 本物は決して可愛いとはいえない蛸ですが、おかげさまで大政の「顔」として皆様に褒めをいただき親しまれています。
私、小槻と田村隆さんは、築地小学校時代からの学友で、「たかしちゃん」「よしおちゃん(自分でいうと恥ずかしい!)」と呼び合う仲。時間を見つけては食談義に花を咲かせ、お互いに良い刺激を受け合っている悪友(!)です。
うちの蛸ってどこが良いの?なんて改まって聞くのも照れくさいものですが、タカシくんは大真面目に答えてくれ感謝、感謝です。